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保証債務の相続税…保証債務履行や会社清算が相続税対策

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バードレポート第316号2000年8月21日

Aさんの財産は評価10億円の土地と現金8億円です。Aさんが亡くなるとこの合計18億円が相続税の課税対象になります。

この土地に8億円の抵当権が設定されました。Bさんが銀行借入をするにあたりAさんの土地に設定した抵当権です。

Bさんが返済不能になれば銀行はAさん所有のこの土地を競売して回収できます。しかし抵当権8億円が付けられても土地の相続税評価は変わりません。評価は10億円のままです。

つまり抵当権が設定されたからといってその債務分は相続税計算上控除されません。Bさんが順調に借入金を返済すればAさんやその相続人にとってはその借入は関係ないものですから。

保証債務の履行


残念なことに借主Bさんは破綻し借入金返済ができなくなりました。Bさんの借入金のうち抵当権部分8億円について銀行がAさんに請求してきました。「Bさんに代わって払っ下さい。でなければ競売にします。」

やむを得ずAさんは8億円を虎の子の現金から弁済しました。

AさんはBさんに対して「あなたの代わりに銀行に対して8億円払ったから返してください」との請求権(求償権)を得ますが、Bさんに資力がなくこの請求権は絵に描いた餅で無価値です。

もしこの時点でAさんが亡くなったとすると、相続税の計算の上では現金8億円はなくなりましたので相続財産は土地10億円だけです。Bさんへの保証分8億円は結果的に相続税の課税対象からはずれます。

中途半端な状況では


困るのは、Bさんがまだ破綻とまではいえないが、将来的に返済が困難となりそうだ、といった中途半端な状況です。実はこの状態がとても多いのです。

そんな中途半端な状況ではAさんの8億円の負担はまだ確実なものとなっていません。ここでAさんが亡くなると「たとえ将来に8億円を負担する可能性があるとしても、相続の時点では確実な負担ではありません」として相続財産からこの8億円を控除することができません。

つまりAさんの相続税の計算ではこの8億円は控除できないのです。土地10億円と現金8億円の合計18億円に対しそのままの相続税がドンとかかります。

たとえ近い将来にBさんが破綻し実際に8億円を負担することになったとしてもです。踏んだり蹴ったり…となります。

近年こういった問題が激増です。多くの場合にこの「Bさん」は他人ではありません。「子」「親族」「自分の経営する会社」ということがほとんどです。その場合でも事情は同じです。

Aさん個人の借金ならば当然に相続財産から債務控除できますが、他人・族・会社への保証債務の場合には簡単ではありません。控除できるのは負担がすでに確実となっており、かつBさんからも回収が不可能な場合に限られます。そうでなければ、相続税は遠慮なくやってきます。

相続税対策は保証債務履行


この場合の相続税対策は早めの保証債務履行です。これは相続税を「減らす」というのではなく「適正にする」ための対策です。

「このままではダメそうだ。いずれ負担することになりそうだ。」と思ったならば、土地売却等で銀行に対しBさんに代わって返済(保証債務履行)をするのです。そしてBさんへの請求権も放棄してしまうのです。

税務に十分に気を配りましょう。保証債務履行のための不動産売却の譲渡税非課税や親族等へ請求権放棄の贈与税非課税といった特例があり、うまく適用できるようプランニングします。

自分の会社の借金が原因なら会社清算により会社に資力ないことを明確にすることが必要なこともあります。会社清算が結果的に相続税対策となるのです。

Aさんが亡くなった時にすでに保証債務の履行が終わり、請求権放棄も終わり、その税務問題もケリがついていれば相続税で税務署ともめる余地はなります。中途半端が最悪です。


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