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大口資産家と超大口資産家についての税務署マニュアル

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2007年6月4日 第643号

民間同様に税務署にも事務マニュアルがあります。そのマニュアルは開示されます。情報公開法に基づく開示請求制度があるからです。ただし、公にすることにより業務に支障を及ぼすおそれがある等でなければ、国は公開しないといけません。

開示請求によりマニュアルが開示されました。しかしところどころに「黒い塗りつぶし」があります。業務に支障を及ぼすおそれがある部分なのです。

「個人課税事務提要(事務手続編)」を見てみました。塗りつぶしもところどころにありますがいろいろ見えてきます。

「大口資産家等の管理」


大口資産家等の管理事務の流れです。大口資産家抽出基準を国税庁がシステム入力し、そこに所得税等の情報が送られ、税務署は大口資産家選定基準該当者名簿を出力します。

この名簿から大口資産家が選定され、各税務署ごとの大口資産家管理簿が作成されます。

大口資産家の選定は次の資料等から作成されます。

(1)大口資産家選定基準該当者名簿(2)申告所得税に係る申告書及び調査議決書(3)財産及び債務の明細書並びに所得の明細書(4)個人調査ファイル(5)高額譲渡者カード(6)譲渡(山林)調査書(7)相続税贈与税法人税に係る申告書及び調査議決書(8)超大口資産家等の管理簿書(9)市区町村の固定資産税台帳及び名寄せ帳(10)資産異動資料探聞情報資料等。更に住民登録や人事興信録も用意されます。

税務署には様々な資料が蓄えられているのです。

(3)の財産及び債務の明細書は、所得2000万円超の年に提出を求められるものです。そのために土地の譲渡のあった年等に限られることが多く、そのときには将来の相続税調査など考えていませんから、書き方見本通りに様々な資産について詳細に記入して提出しまいます。

ずっと後にその本人が亡くなりその相続税調査のときには、提出していたことを相続人はもはや知りません。でも税務署にはしっかり保管されています。

なお大口資産家でも選定後3年で基準に該当しなくなると大口資産家名簿からはずれます。

「超大口資産家」として別管理されている資産家が存在することも分かります。ここでは例えば新聞切抜き資料等も延々と何十年に渡り蓄積され続けます。

相続税調査の際に大昔の切抜資料をもとに調査がされます。


「超大口資産家の特別関係人については…」なんていう文言までマニュアルにありました。

「重点管理対象者の選定」


大口資産家のうち保有資産の収益性、流動性が高い者等、高密度の管理を行う必要があるものは重点管理対象者に選定されます。株式等で流動性が高い資産家は選定されるのでしょう。

「大口資産家等の入力」


大口資産家はコンピューターシステムに入力されます。「態様」「選定区分」「金額等」を入力するとあり、「選定区分」は6種類あるそうです。「重点管理該当区分」というのがあるようですが、他にどんな区分かはマニュアルからは不明でした。

「調査困難事案の管理」


言わば「あやしい案件」について選定し継続管理します。残念ながらその選定基準は「黒い塗りつぶし」されています。

この「塗りつぶし」につき「開示しろ」との不服申し立てがなされました。内閣府の情報公開審査会は次の決定をしています。

「本件不開示部分には国税当局が継続的に管理する必要のある納税者の定義及び具体的な選定基準が記載されていると認められる。当該部分を公にした場合には,例えば、基準に該当する納税者のうち一部の者が所得税の調査を予測し、税額計算上の不正手口の巧妙化を図るなどにより、国税当局による正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為の発見を困難にするおそれがあると認められる。したがって、不開示とすることが相当である。」

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