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債権者から財産を守る配偶者贈与と競売回避の名義変更

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2009年1月19日 第721号

経営者は最後までがんばります。でも妻子まで連帯保証人にしてはいけません。そして自宅を守りましょう。夜逃げ・自殺・一家離散…そうならないように最後の逃げ場所を残します。

誰が連帯保証人か


まずは「誰が連帯保証人」になっているか「誰の連帯保証人」になっているのか確認します。

不動産の「担保提供者」になっただけのつもりでハンコを押したのに、銀行の書類は、小さな文字で「担保提供者兼連帯保証人」になっていたりします。

特に共有不動産の共有者は注意です。昔の抵当権設定書は銀行に一方的に差し入れるだけでした。控えが残っていません。

早めに確認を取ります。妻子が連帯保証人になっていたなら、それを外す努力が最優先です。

配偶者贈与で自宅確保


返済不能になった場合に、金融機関は自宅を売却して借金を返せといってきます。ついには競売申し立てもされるでしょう。

このときにその自宅に他人の共有持分が入っていればそうは簡単に売却できません。

配偶者控除という贈与制度があります。婚姻20年以上の配偶者に評価額2000万円の自宅を無税で贈与することができます。

自宅評価が1億円ならば2000万円に応じる持分20%を贈与できます。自宅が無担保ならば早く贈与をしましょう。

いざとなって夫単独所有なら簡単に競売され追い出されます。

しかし他人持分が入っている不動産、つまり夫の持分の80%だけでは競売しずらいものです。なかなか競落されませんし、競合がないのが普通なので身内に低い金額で競落してもらえます。そんな状況を背景に金融機関と強気の交渉も可能です。

なお破たん直前の贈与については詐害行為とされて取り消し対象になったり、強制執行妨害罪(刑法)もあります。それゆえ配偶者控除という税制が定めた制度を使い、できるだけ早く贈与することです。「いかにも詐害行為」としての贈与ではなく「20年間連れ添ってくれてありがとう」という税制の趣旨に従って贈与するのです。なお贈与後に全体に担保設定されては何の意味もなくなってしまいます。

緊急避難で名義変更


税法には「実質課税の原則」があります。税務調査で「この預金は妻名義だから相続税の申告からはずしています。」「でもこのお金は夫の収入から蓄えたものですね。名義は妻でも、実質的には夫の預金ですから、夫の財産として相続税の課税対象にします。」ともなります。

贈与税にも実質課税の原則の考え方がはたらきます。不動産の名義変更をしても、実質が「贈与」でないことを明確にすれば贈与税は課税されません。

例えば「このままでは債権者から差し押さえられる」ときの緊急避難で他者に名義変更するような場合です。

名義変更しても贈与税なし


名義変更についての通達(直審(資)22、S39.5.23.)には「…真にやむを得ない理由に基づいて…合意により名義を借用…その事実が確認できる場合…贈与がなかったものとして取り扱う…」。つまり名義変更しても贈与税は課されないのです。

通達(直審(資)34、S39.7.4.)で更に具体的例示をしています。

「財産の名義変更等が、強制執行その他の強制換価手続を免れるため行われたと認められ、かつ、その行為をすることにつき真にやむを得ない事情(例えば、これらの財産を失うときは、通常の生活に重大な支障を来す等の事情)がある場合(配偶者・三親等内の血族及び三親等内の姻族の名義とした場合を除く)」

税務署は血も涙もあります。見て見ぬふりをしてくれますし、金融機関へ通知などしません。


三親等内はダメとありますが、適当な相手がいない緊急避難もあります。自己責任ですが、避難優先なら、当事者で確認書を作成し名義変更し、すぐに税務署に泣きつきます。どうしても不可なら戻せばいいのですから。


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