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日本航空の会社更生法申請に学ぶ正しい法的整理の仕方

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2010年1月18日 第769号
返済条件変更や任意整理に銀行が応じてくれなければ法的整理です。民事再生法や会社更生法です。法的整理ならば銀行は検討せざるをえません。
債務者の立場での法的整理は銀行への脅しです。全財産の処分価格を算定し「再生計画成立なら借入金(無担保部分)80%カット。御行が反対なら成立せず破産に移行しますよ。破産だと90%以上でしょうね。どっちにしますか?ぜひ賛成を。」と瀬戸際交渉するのが法的整理です。裁判所の管財人がいても銀行等との個別説明と交渉が必要です。
なお民事再生法と会社更生法の大きな違いは抵当権の扱いです。民事再生法だと債権者は再生手続き中でも競売できます。会社更生法だとできません。

一般取引先と銀行への迷惑


事業継続を前提としての任意整理であれば迷惑をかける相手を銀行だけに絞れ、一般取引先には全額払えます。仕入れ先に代金を支払えなければその後の仕入れは断られるでしょう。つまり仕事ができなくなります。
銀行借入だけカットし、一般取引先には何としてでも支払いたいのです。しかし法的整理では支払禁止となってしまいます。
一般債権者に全額弁済し銀行だけ債権カットという虫のいい再生計画を実行したいものです。
それを日本航空が実行します。
運航継続を優先するため、燃料や機体リースといった取引先の債権を全額保護します。
これからは「債権者が同意すればそのような法的整理も可能」という見本になります。
事業継続前提なら、取引先への迷惑を最大限抑えます。法的整理が近づけば発注を控えたり現金払いにします。大切な相手には何とかすべて支払います。
そうすればその取引先には感謝され応援してもらえます。

債権者集会で頭下げても、「誰に幾ら迷惑かけた」かすぐ忘れてしまいます。迷惑を受けた側は少額でも死ぬまで忘れません。

余裕をもって法的整理


無一文になってからでは何もできません。破産を申し立てられて野垂れ死にです。
余裕があるうちです。民事再生法の申請にもお金はかかります。裁判所の手続き費用(予納金)や弁護士費用等は申請前に用意しないといけません。
そして営業キッャシュフローが回っているうちです。そうであれば話し合いも可能ですが、そうでなければ「どうせ無理」と相手にしてもらえません。

なお不動産賃貸業は注意が必要です。一般の事業は、技術やブランド、取引先、人材等の集合体です。それがキッャシュフローを生みます。だから破産させるよりも、債権カットを受けてでも集合体のまま存続させることで返済額を多くできます。
不動産賃貸業は事業からの収益でなく不動産からの収益です。
不動産価格を将来収益の合計額と考えるなら破産させても再生させても返済額は変わりません。それなら債権者保護優先で売却返済です。不動産賃貸業の再生には困難がともないます。

資金繰りは回るのか


法的整理になった瞬間に資金調達は困難になります。「何とかなるだろう」との甘い気持ちならそこで終わります。そのあとの資金繰りの見込みをつけてから法的整理に突入します。
お金をためて残して法的整理です。裁判所は「支払禁止」を命じてくれますから、「お金はあるけど、払えない」と債権者に言えます。そして事業継続のために人件費や仕入れなどに貯めてきたお金をつかいます。
日本航空はDIPファイナンス(破綻企業向け融資)です。会社更生法申請直後に、日本政策投資銀行から融資を受けます。
この融資は再生のための軍資金、つまり債権者全体の利益のための資金なのでその後の事業収益から優先返済され債権カットを受けることなどありません。
ためたお金で足りないのならば、このような資金をだしてくれる金融機関や知人親戚やスポンサーを用意しておくことです。


会社再生手続きは民事再生法からDIP型会社更生法へ 2009年3月2日 第727号



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抵当権消滅請求
任意売却最終処理
金融円滑化法2013年3月終了
銀行全支店への一括差押命令
中小企業金融円滑化法でリスケをしたら
抵当権設定での地主の承諾書
内部留保できるリート
貸金業総量規制
グループ法人税制…親子会社間売買は非課税?
日本航空の会社更生法申請に学ぶ
清算事業年度での土地売却
DIP型会社更生法と民事再生法
預金差押…一網打尽の差押
任意売却譲渡税と債務免除益課税
債務免除益課税と私的整理ガイドライン
包括根保証は廃止。極度額の定め
金融検査…デットデットスワップ
最低売却価格は売却基準価額へ
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