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昭和バブル期取得の不動産売却時の譲渡税は要注意

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2010年3月15日 第777号
昭和バブルの頃の都市部では高値で不動産売却をした人がたくさんいます。そのお金で自宅を買い換えたり、収益用アパートを買い求めました。売却物件と同額の物件を買うと譲渡税はゼロになったりわずかになったりしましたから。「居住用買換特例」「事業用買換特例」です。
それから20年。その間に相続があって子に移ったりもしています。「もう覚えていない」「そんな昔のことは知らない」。
しかしきっちりと覚えているところがあります。税務署です。
昔の買換特例の記録をきっちりと残しています。それを知らないまま無闇に土地を売却すると大変なことになります。

買換物件への譲渡税課税


Aさんは昭和バブル期で都心部の自宅を4億円で売却します。その4億円でそのまま郊外に自宅を買います。東京では商業地でなく住宅地でも珍しくなかった金額です。何しろ日経平均が4万円直前だった時代ですから。
それから20年が経過しました。「買換特例」を使ったことなど完全に忘れています。
日経平均1万円の今、その自宅を1億円で売却します。税金が心配になります。20年前の確定申告書控など残っていないでしょう。しかし昔の売買契約書は残っていることが多いようです。
「4億円で買ったものを1億円で売却ですね。原価4億円なので売却損だから譲渡税ゼロですよ。(以下で減価償却等無視)」
そのままゼロで申告します。すると税務署から指摘です。
「この物件は昭和何年に居住用買換特例の適用を受けています。修正申告して下さい。」
この物件は4億円で買いました。普通なら税務での原価も4億円です。しかし買換特例なら税務での原価は4億円ではありません。昭和何年に4億円で売却した旧自宅がその何10年前取得で原価2000万円なら、新自宅は実際に4億円で買ったものであっても税務での原価は2000万円になります。買換特例で譲渡税をゼロにする代わりにこのように原価を引き継いでいるのです。
「4億円で買ったものを1億円で売却ですね。ただし税務上の原価は2000万円なので、譲渡益は8000万円です。居住用なのでここから3000万円特別控除をして…、そして…」となります。

Aさんがすでに亡くなっていて、経緯を知らない子が相続し、その子が売却した時も同じです。 

そんなこと分かるの?


「そんな昔のこと税務署に分かるの?」と聞かれます。
「この物件は買換特例を使っているか調べて下さい。」と税務署で質問することができます。
「実際の購入金額は4億円ですが税務での原価は2000万円です」あるいは「該当しません(税務署では買換物件との記録がありません)」と教えてくれることになっています。
東京国税局では記録がコンピューターに入っているようです。つまり所有者側は忘れていても、税務署側は忘れません。

事前確認は必須


例えば遺言作成時に不動産売却での相続税納税資金を考えるには、この確認は必須です。
要注意は昭和末から平成初頭に買われた物件です。
所有者や家族への聞き取りからです。「この物件購入費は何かの売却代金ですか。」「それ以前どこにお住まいでしたか。」
居住用買換は全国対象なので自宅は全国どこでも要注意。また当時の事業用買換物件の多くは制度上から3大都市圏の既成市街地等の外側(措置法37条)で買われました。そのため郊外や地方都市でのアパート等の賃貸物件は疑いましょう。都心部でも等価交換マンションは要注意。

アパート建物なら毎年の税務申告書に減価償却欄があり原価が明確なので気がつきやすいのですが、アパート敷地は注意です。敷地にだけ買換特例を適用していることが多々あります。
個人所有の土地は帳簿に記録が残らない(確定申告書に記載欄がない)ために過去の経緯が分からなくなっていきます。

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以下この記事の属する項目内明細…項目一覧は→項目一覧へ
項目:譲渡税買換特例
自宅売却損
2009-10年のマンションなら売却益1000万円非課税
相続税取得費加算駆け込み売却
取得費加算の期限の延長法
相続土地非課税売却の行方?
引越後3年の3000万円控除
9号買換(事業用買換特例)
事業用買換特例(1号買換)の変貌
年内引渡と来年の売買契約の税務
相続と取得買換土地の簿価引き上げ
買換物件の原価や償却はどうなるのか
取得費引き継ぎ…昭和バブル期不動産
借金返済土地売却の譲渡税非課税
土地先行取得
土地先行取得による課税繰延
新規取得土地1000万円特別控除
固定資産税清算金と譲渡所得
譲渡所得と引渡基準・契約基準
事業用資産買換特例の期限
資力喪失で譲渡税非課税
保証債務履行で不動産売却
相続税の取得費加算の期限半永久化
相続税の取得費加算と固定資産交換特例
相続税の取得費加算は遺産分割次第
相続税取得費加算
賃貸不動産と3000万円特別控除
売却損でも譲渡税課税…買換特例
値上がり元自宅と値下がり現自宅課税
事業用資産の買換特例期限
マイホーム譲渡税と配偶者贈与
値下がりマイホームの売却は譲渡損
居住用特例は所有者として居住
居住事実の税務調査
転居後自宅の居住用3000万円控除
事業用資産買換と税制
値上不動産や株式の所有者
不動産売買での譲渡所得は引渡基準
保証債務履行の土地売却を非課税に
取得費加算の期限を半永久的に延長
相続税を払ってから3年間は譲渡税なし
固定資産税清算金は売買の対価
ゴルフ会員権譲渡損の損益通算の行方
譲渡税率の引き下げ
マイホーム売却損の損益通算
事業用資産の買換特例の延長?
遺産分割次第の自宅売却の譲渡税
マイホーム売却損益通算
マイホーム売却…名義・賃貸中
事業用資産の買換特例の行方
土地交換分合や任意区画整理
3年前の仮換地特例・居住用特例
固定資産交換で非課税土地譲渡
賃貸中でも居住用特例
買収後会社清算M&A
不動産M&Aの終焉
居住用特例適用のため
不動産売却を会社分割で
売買決済は年内より来年
相続の後は譲渡税
賃貸中でも居住用
新事業用資産の買換特例
3年期限の譲渡税非課税枠
物納しても相続税取得費加算
買取仲介型の不動産M&A
会社売却での土地売却
無資金で土地を買う方法
3年前に引越仮換地指定の節税
相続財産の売却

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