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大企業の不動産との接し方は不思議…中小企業には理解困難

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2015年3月2日 第1015号

固定資産の減損会計


大企業(公開企業)は減損会計を意識します。これはいわゆる時価主義会計とは異なります。

不動産等の固定資産について今後その資産が生み出す回収可能額合計が簿価よりも少ないのなら、会計上でその簿価を回収可能額に切り下げることです。

工場の現在の簿価は10億円です。これからの20年間操業するとして20年間の回収見込み額と20年後での売却見込額の合計が7億円なら、簿価を7億円に下げて、3億円分の減損損失を損益計算書に損失として計上します。


そんな損失計上などしたくないと思っても、大企業は会計監査の会計士に指摘されます。

さて10億円で高値買いした本社ビル。収入は生まなくても、本社として利用価値が10億円あると説明して会計士から指摘はされませんでした。

本社移転をしました。すると本社ビルの利用価値という説明は不可になります。所有継続するのなら減損しろとの指摘も。

経営者にとって減損損失など計上したくもない項目です。

「売りたくないが決算日までに売れる金額で売ってしまおう」。


売却損の方がマシと思え、また減損損失は法人税での損金になりません(会計と税務は別です)が、売却損なら損金です。 

大企業経営者は中小企業の創業経営者と違い、特定の不動産(創業地等々)に思い入れもなく簡単に売却します。中小企業には理解できない売却です。

賃貸用不動産の注記


大企業は賃貸不動産につき財務諸表の注記事項として、その期末の時価を開示します。

不動産ごとの時価を開示せずに、グループ化して開示することも認められています。それでも重要性のある物件についてはちゃんと不動産鑑定士に鑑定を依頼することになります。数年ごとの正式な鑑定をして、翌年や翌々年は時点修正で対応していることもあります。

大企業はカネを払い不動産鑑定評価し、時価開示を続けます。中小企業には理解できません。

資産除去債務会計


アスベストや土壌汚染がありその除去が将来必要で10億円と見積もられました。除去するのが将来でも、会計上でその10億円を貸借対照表の債務に計上します。将来負担すべき金額が10億円あると表明するのです。

損益計算書に損失10億円を計上するのでなく、債務計上の見返りにその資産簿価に10億円加算します。建物なら減価償却の対象とされ各期に費用配分されます。加算後にそのまま10億円の減損となるかもしれません。

定期借地上建物の解体費用、賃借建物の原状回復費用も同様です。未来の除去費用を計上するのですから大企業は敏感にならざるを得ません。

オフバランス化で買戻し


中小企業にとって理解できない大企業の行動で際たるものは、オフバランス化(オフバラ)です。 

オフバランスとはバランスシート(貸借対照表)から外す(OFFにする)ということです。

本社ビル10億円。減損損失を売却損にするため、ROA(総資産利益率)を意識して資産圧縮するため、含み益を実現益にして利益計上のお化粧のため等々の目的で、本社ビルを外部に時価10億円で売却します。

ただ本当に外部売却すれば本社ビルをもう取り戻せません。そこでSPC等に10億円で売却し、売却後も不動産への何らかの影響力を留保します。


SPCに議決権支配権を残せばSPCが子会社と見なされます。大企業は連結決算なので親会社と子会社とで資産合算され不動産所有のままとの決算となり売却したことにできません。

昔とは違い現在はオフバラ要件が厳しく、将来の買取り優先交渉権を残すぐらいが限度です。

みずほ銀行は旧本店ビル(旧興銀本店)を2003年にSPCに864億円で売却しリースバック賃借し家賃を払い続けます。オフバラしました。今般みずほ銀行は1590億円で買い戻しました。

何でそこまでするか。高い家賃を払い続けてまで売却するのか。中小企業には理解困難です。

賃貸用不動産や遊休不動産は時価注記…会計基準の変更 2008年7月21日 第697号



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