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税務調査官見解は正式見解か・2003年買ったビルを今売ると

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バードレポート・トピックス版2015.1.8.



財産債務調書の対象は、「または」でなく「かつ」


当レポート1月5日号税制改正で財産債務調書対象は「『所得2000万円超』かつ『総資産3億円以上または有価証券等(国債株式等や匿名組出資)だけで1億円以上』」。3億円は借金差引後でなく総額です。

不提出や虚偽記載そのものには罰則規定なしです。

税務調査官の見解は正式見解ではない


役員賞与は経費(損金)になりませんが、賞与額を税務署に事前届出により確定しておけば経費です。しかし届出と違う額を払うと差額でなく賞与全額が経費否認。恣意的な利益調整を許さないためです。

平成22年12月に法人に税務調査が入りました。

支払額が届出額と違うことを税務署の調査官が見つけます。役員5人分の年間賞与の事前届出額3620万円、実際支払額3770万円。差額の150万円だけでなく3770万円全額が経費否認となり課税されます。

金額から見れば不注意な賞与増額と思われます。他に指摘事項もあり、「指摘事項について修正申告をしてくれれば、違う金額(3770万円)の支払いは指導事項に留めます。」…といった発言があったようです。会社側はその発言に従い修正申告します。

翌年4月になりその調査官から連絡です。「税務署として検討した結果、指導事項に留めることはできない」と、3770万円の修正申告を求めます。会社が「話が違う、ふざけんな」と怒るのは当然です。

6月に「修正申告する意思がない」と税務署に回答すると、税務署は即座に3770万円の課税処分、法人税額本税だけで1000万円増です。メンツをかけた争いは国税不服審判所を経て東京地裁へ。

会社側は、信義則違反として、課税処分の取り消しだけでなく、課税処分と債権差押えにより信用が毀損されたと国家賠償法による国家賠償を求めます。

「本件調査担当職員(調査官)らが、…税務官庁の一担当者としての見解ないし処理方針を示したものにすぎないというべきであって、税務署長その他の責任ある立場にある者の正式の見解の表示であると認めるに足りる証拠ないし事情は見当たらない。…本件発言及び…要請は…公的見解の表示には当たらない」(東京地裁平成26年7月18日)

現場の税務調査官が言ったことは「税務署長その他の責任ある立場にある者の正式の見解の表示」でないので「公的見解」ではない。だから信義則違反でもないし課税処分は適法、という判決です。

言い換えれば、現場の調査官が何を勝手に言ったか知らないが、それには法的拘束力はなく、そんなのを信じたあんたらが悪い…という判決です。

それから3ケ月後の平成26年11月19日には東京高裁の判決。信頼の対象となる公的見解は「税務署長その他の責任ある立場にある者の正式の見解の表示」であり、調査担当職員の発言はその公式見解とは認められない…変わらぬ結論でした。

(T&Aマスター2014.12.8, 東京地裁判決)

2003年に買ったビルを今売ると…利益か損失か


みずほ銀行は旧本店ビル(旧興銀本店)を2003年に三菱地所のSPCに864億円で売却しリースバック賃借していました。丸の内のこの一角は近隣ビル3棟で再開発となり、みずほ銀行は三菱地所から1590億円で買い戻し、再開発事業に加わります。再開発プレミアムがあるとしても2倍近くに値上がりです。

森トラスト総合リートは2003年の新規公開時に、銀座MTRビルと三田MTビルを各160億円で買いました。そして今回この二つのビルを売却します。

銀座MTRビルは240億円で野村不動産に外部売却で売却益。三田MTビルは130億円でスポンサーの森トラストに売却で売却損。同じ2003年に同じ160億円で買ったのに売却額は倍近くの差です。

三田MTビルは、森観光トラスト(現在の森トラスト・ホテルズ&リゾーツ)から160億円で買い、森トラストに130億円で売ります。身内間取引です。

現況稼働率63%だから安くなる?…今の好調賃貸マーケットなら満室にしてから売れば?。

森トラストはここで隣接ビル3棟で再開発をします。丸の内と同じだし、注目の山手線新駅すぐそば。再開発プレミアムをのせてもらえないの?。銀座MTRビル売却益に三田MTビル売却損をぶつけるから安い方がいいの?。それとも単なる投資の失敗?

一般論ですが、一部のリートはスポンサーから物件を買って、スポンサーへ売ります。その売買も物件も価格もスポンサーの都合次第?。スポンサーにとってリートは所詮他人の金の、便利な受け皿?。

(日経不動産マーケット情報2015.1月号)

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